漆の森を作り、漆を守る
気が遠くなるほど永く大切に守られ、私たちに引き継がれた国宝や重要文化財。それがいま失われつつあります。
その原因は漆(うるし)の不足です。
仏像、寺社建築、工芸品など、数多くの国宝や重要文化財には漆が使われています。有名なものだけでも法隆寺玉虫厨子、興福寺阿修羅像、東大寺法華堂不空羂索観音立像、厳島神社、平等院鳳凰堂、中尊寺金色堂、金閣寺、日光東照宮など枚挙にいとまがありません。
それらは修復作業を繰り返しながら維持、保存されていますが、漆が足りないために修復作業ができないことで、劣化などの危機に陥っているのです。
現在、日本で使われている漆の97〜98%は中国産です。伝統工芸の漆器ですら国産漆で作られているものは非常に稀です。国産漆はほぼ文化財の修復に使われていますが、それでも必要な量の半分以下でしかありません。
漆はウルシの木の樹液です。15年ほど育てたウルシの木に傷をつけ、滲み出す樹液を1滴1滴掻き集めて採れる漆は200gとごくわずか。しかも1回限りで切り倒されますので、ウルシの木は減り続けています。
漆はすぐに増やすことではできません。種を撒き、苗を育てて野山に植え、15年後にやっと漆が採れます。
手間も時間もかかることですが、いま取り掛からなくては、国宝・重要文化財という日本人の誇りであり、先人たちの生きた証であり、そして子や孫たちがグローバルな世界で生きていくための礎が永遠に失われてしまいます。
私たちはNPO法人を設立しウルシの木を植える活動をはじめました。どうぞ私たちの仲間になってください。共に漆を増やしましょう。1本1本のウルシの木が日本の宝を守り、子や孫たちの未来につながります。