作業のいろいろ その3|漆掻き技術(4)
枝掻(えだがき)
止掻を終えた11月は、岩手県浄法寺町とその周辺地域ではウルシの木は落葉し、雪が降る天気も多くなります。
その時期の漆掻き作業は枝掻となります。
枝にある漆液を樹幹におろさないために浦目掻で枝止めの傷をつけます。
止掻では枝止めの傷と枝の分岐個所の間に、90度方向をずらして傷をつけます。
枝止めと止掻の傷の間にノコギリを入れて、70~80㎝の長さ(2尺前後の長さという漆掻きさんもいます)に切りそろえます。
フジツル等で束ねて漆山から運び出します。その束を川や水田の水に立てて10日間ほど浸けた後、採取に取りかかるのです。
漆掻きさんを職人として雇った場合には、雇用期間を空けにくいため11月20日頃まで続けたようです。個人では、仕事のない冬場に行なう場合もあるのです。
瀬占掻(せしめがき)
枝掻を行うと、小指ほどの太さの生長1年目の小枝は残ります。この小枝から漆液を採取する作業が瀬占掻です。
明治時代の文献や越前の資料で知ることができますが、岩手県浄法寺町とその周辺地域では知る人はなく、道具は発見できない状況です。
出稼ぎにきた越前の漆掻きさんは、漆掻きを終えて越前に早く帰りたいがために、この地方には伝えなかったのではないかと考えられます。
左から
- 図2 目立(辺付け)
- 図3 辺掻
- 図4 浦目掻止掻
執筆者プロフィール
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昭和30年 青森県三戸郡新郷村谷地中に生まれる。
昭和52年 弘前大学 工業試験場 漆工課卒業
昭和52年~ 教職に携わり夏休み中に全国の漆産地を行脚
平成8年~ 平成21年度青森県史編纂調査研究員(文化財部会推薦)
平成28年~平成31年3月 青森県新郷村教育委員会教育長
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