2019.10.28 漆掻き道具 その5|漆掻き技術(9) Tweet 枝掻の道具 エダガキヨウカンナ(新潟県) 正面に枝を置く台を据えて行う台掻きと、はしご等に枝の片方を置いて行う立ち掻きの2方法が枝掻にはあります。用いる道具の特色あるものは、竹をくり抜き、カンナに差し込んで用いるカンナグルマです。辺掻きで用いたカンナも利用しますし、かつては枝掻き専用のカンナも見られました。 瀨占掻の道具 春からその年に伸びた若い枝から漆液を採取する作業は、瀬占掻です。掻き台の上にのせた枝に、あるいは左手で立てて支えた枝に、瀬占包丁で樹皮に傷を入れます。削り取るのではなく、刃物を入れて樹皮を切るということです。瀬占包丁は、刃物であれば利用できたものであり、その土地により異なり、統一されていない道具であろうと考えています。 切った樹皮から漆液がしみ出てきたら瀨占ベラで採取します。この瀨占ベラのあて方は、刃先は軽く、腹をしっかり押して、しぼるようにして採ることになります。強くあてると、木部から若い樹皮をはがすことになります。しぼり採った漆の量は微々たるものであり、現在では行われないと考えていいと思います。 瀨占ベラ(奈良県) 現在、南部地方では瀨占掻の道具を確認できないままです。また、かつて瀨占掻が行われた地域も確定できないでおります。その手がかりの情報をお願いします。 執筆者プロフィール 橋本芳弘 昭和30年 青森県三戸郡新郷村谷地中に生まれる。 昭和52年 弘前大学 工業試験場 漆工課卒業 昭和52年~ 教職に携わり夏休み中に全国の漆産地を行脚 平成8年~ 平成21年度青森県史編纂調査研究員(文化財部会推薦) 平成28年~平成31年3月 青森県新郷村教育委員会教育長 Tweet この記事のタイトルとURLをコピーする 漆掻き道具 その4|漆掻き技術(8) 前の記事 漆掻き道具 その6|漆掻き技術(10) 次の記事