国宝や重要文化財の修復に必要不可欠な国産漆の⽣産は年々減少の一途を辿り、昭和26年に33,750kgだった漆の生産量は、平成28年には僅か1,265kgまで落ち込んでいます。その結果、漆の自給率は3%程度で、その大半を中国に依存しているのが現状です。今や、国宝や⽂化財の保護、伝統⼯芸の継承が危機的状況にあるのです。
平成27年に文部科学省より、平成30年以降、国宝、重要文化財の修復に使用する漆を国産に限定することの決定がなされました。しかし、修復に必要とされる漆が年平均2.2tと試算される中、平成28年の生産量は約1.2tのため、必要な供給量を達成するには、単純計算で毎年約1tの増産が必要となります。
加えて国産漆を必要としているのは修復だけではありません。漆器に代表される伝統工芸文化など、先⼈達が守り続 けた⽇本の歴史、⽂化、芸術、技術を次世代に繋げていくためには、国産漆を安定的に生産、供給していくことが不可欠となります。
今、取り組まなければならないのは「ウルシの木を植え、増やす」ことです。